短編集(といってもそこそこ長い)の中に「いまわしい話」というのがあるんだけど、あれは響かない人には全く1ミリも響かないと思われるが、私はめっちゃくちゃえぐられました(笑)。
なんていうか、ドストエフスキーの思考なのかロシアがそうなのか分からないけど日本人とかなり通じるものがあると思う。少なくともアメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・南アジアなんかよりずっと似ているところがある。
ロシア語は言語の文化って亀山郁夫だか沼野充義だかが言ってたけど、文字をしゃべったり、音より文字が表現のメインになってるところが日本っぽいんだよすごい。
「いまわしい話」は、誰もが経験することじゃないと思うけど、経験したことがある人にとっては本当に忌まわしい話で、他人事ながら惨めで「あああああ」ってなることこの上ない話です(笑)。
小さな経験やキーワードに紐づけされた諸々の黒歴史が、竹のように根深く地下に茎を張り、引っ張ると芋づる式に出てくるわけです(「あああああ」ってなりながら)
まあよくもまあ読者のそういう「あああああ」を引き出すよねドストエフスキーは。
ちなみに短編集「鰐」に入っております。