桐野夏生さん

名前から勝手に男の作家だと思っていました。岩波から出ている100円の雑誌「図書」で色んな人がやばいやばい言っていたので文庫化と同時に読むことにしました。990円。

ディストピア小説というものを読んだことが無かったのですが、(持ってるけど読んでないのもある。オーウェルとかね。ジャケ買いしたんだけど2行で寝た)これがディストピアかーと思いました。ディストピアにならないように権力を持った人たちは責任感を以て仕事をしてほしいものだなと思いました。

簡単に内容を説明するとある作家が知らない手紙に呼び出されて閉じ込められるという話なんだけど、呼び出されても行かないんじゃないかなってまず思っちゃった。え、なんで行っちゃうの呼び出されたところに?(答え;行かないとストーリーが始まらないから)

まぁ最初からイヤーな気持ちで読みました。最後の感想は述べないけど、私はただでさえ日々の現実の諸々に苦しんで煮え湯を飲まされているのに何で小説の中でまで苦しまなきゃいけないの、と思いました。途中で読むのやめようかと思ったけど軽いのでスラスラ読んでしまいました。ページターナーとはこのこと。

読書って、私の場合、いわゆる山登りのようなもので、ずっと急な山道を、一生懸命頑張ってヨイショヨイショ言いながら登って、そんで頂上についてワーすごいなんていうこと!っていう爽快感みたいなものがあるんだけど、考えたらこういう、全然急坂じゃない、下り坂みたいな読書体験もあるんだなと思いました。もちろんこれは悪いわけじゃない、エンターテイメントだし、映画みたいなもの。自分で苦労することなしに周りがどんどん与えてくれるから自分はそれを受け取るだけというもの。これは楽なんだけど、周りを囲んでくるから自分が感情を準備する前に感情が引っ張り出されてしまうので注意が必要。この「ディストピア」小説も途中危ない目に私が遭いながら何とか感情を引っ張り出されないよう距離を置いて薄目で読みました。映画なら途中飛ばしたり見るのやめたりしてたと思う。

私のような繊細で使命感に溢れた読者には向いていない本だなあと思いました。これは出版する側や、配信する側の人間が読んで心を入れ替えるべき本でしょう。

やっぱ私には生きている最先端の作品は向いてないや。