帰りたい

色々なものの締め切りが迫っております。まいったね!もう今日は共同親権法案が可決されようとしているし、17日に提出しなきゃいけない書類が待っているし(はぁはぁ)

私は柴田元幸が嫌いなんだけど、理由は私が好きなものをどんどん先にマス集団に紹介しまくるからなんだけど、私と好みが似ているんだけど、村上春樹はちょっと違うんだ。柴田元幸がとにかく全部好き(動揺)。

だから嫌いなんですが、嫌いだからびた一文払いたくないわけです。しかし原書を買うより安いし早いという理由もあり、2003年に、白水社から出されたスチュワートダイベックの短編集を買ってしまったんですよ。でもダイベックの名のすぐ隣に書かれた柴田元幸の文字が許せなくて、20年以上本棚の奥底にしまいっぱなしだったわけです。

でも昨日ね、自室で探し物をしていたら、見つけてしまったんですよ、その柴田元幸翻訳、スチュワート・ダイベックの短編集を。

そしてちょっとそっと手に取って、目を細めて、片目でチラ読みしたわけです。

もうね、無理。好きすぎ。無理(笑)

私は元来野生児なので自然への敬意や敬愛が根底にあり、そしてそこから産出される諸々を愛するのですが、同時にアスファルトやタイルやら敷かれた近代アメリカ文学がものすごい好きなんですよ。70年代から2000年初頭にかけて出版された諸々。そう。好きすぎて翻訳で読みたくないくらいなんだよ。だって悔しいじゃん。

「シカゴ育ち」というタイトルが付けられたその短編集は、ミニチュア本かなってくらい小さな文字で本文が始まるんだけど、いきなり一番最初の物語の、最初の3行でもう色やら匂いやら音に包まれて昇天ですよ私は。すごく短いストーリーなのに、それだけで十分私の時間は穏やかな幸福感に満たされ、かつて味わった北向きの自室での静かなひと時を思い出すのに十分なほど密なものになったわけです。視野の隅っこに現れた、汚い部屋で我に返った。

翻訳で読んだのに。私にはこんなにすごい翻訳はできまい。柴田元幸……!やるな……!ああ、あとは任せたぞ……!(ぐっ)

え、でもThe coast of Chicagoをシカゴ育ちって訳しちゃうの?そりゃダイベックのことじゃん。いや、えーまぁいいけど、えーでも私が訳すと「シカゴの海沿い」になっちゃう。(笑)酷いなんてもんじゃない。(笑)そんなタイトルの小説誰も買わない。自分の文学的表現力の無さよ。笑

やっぱり、柴田元幸、あとは任せたぞ……!

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